DENON Linkを5mのLANケーブルで繋いでみた話

DVD-A1XVAをSACDプレイヤーとして使用することが決まり、設置場所を検討していました。
しかし、4段あるラックはすでにすべて埋まっている状態です。

パワーアンプの上部に若干の空きがあるため「プレイヤー程度なら載せられるかな?」とも考えましたが、DVD-A1XVAはかなり大きな機器のため現状のスペースには収まりません。
以前はラックの裏側に設置していたこともありましたが、アクセスしにくく使うのが億劫になっていました。
プレイヤーはすぐ手の届く場所に置いておきたいものです。

実は、メインラックとは別にもう一台ラックがあります。
レコードプレイヤーには蓋があるためメインラックには載せられず、専用のラックを用意していたのです。
レコード再生時はフォノイコライザーアンプとメインアンプをRCAケーブル(約3m)で接続しています。
🌾 この接続距離はいずれ改善したいところです。

さて、今回のSACDプレイヤーはAVアンプとDENON Link(デジタル接続)で繋ぐことができます。RCAによるアナログ接続より信号の劣化が少ない点が魅力です。であれば、まずは「ちゃんと接続できるか」「音質はどうか」を試してみよう、というのが今回の趣旨です。

接続機材

今回はAVP-A1HDとDVD-A1XVAの組み合わせのため、DENON Link 3rd Editionでの接続が可能です。

  • AVアンプ: DENON AVP-A1HD
  • DVDプレイヤー: DENON DVD-A1XVA

DENON Linkとは?

そもそもDENON Linkとはどのような規格なのでしょうか。

DENONの独自規格で、デジタル音声信号を1本のケーブルで伝送できる接続方式です。
かつてのマルチチャンネル接続では、アンプとプレイヤー間をRCAケーブル6本で繋ぐ必要がありましたが、DENON Linkならケーブル1本で済むため配線が大幅にすっきりします。

Wikipediaによると、Denon LinkはDVD/BDプレイヤーとAVアンプ間のオーディオ接続を目的としたDENON独自の技術で、同メーカーの機器間に限定されています。2000年代のモデルではRJ-45ソケットに近い独自コネクターが採用されており、2013年モデル以降は「Denon Link HD」と改称されてコネクターもRCAに変更されています。同社はこの技術により他のデジタルオーディオ規格より優れた音質伝送が実現できると主張しており、ユーザー間ではHDMIと競合する規格として認識されています。

規格の変遷

規格対応メディア備考
DENON LINKCD、DVD(?)デジタル転送が可能に
DENON LINK 2nd EditionDVD Video / DVD Audio / CD-DA / Video CDマルチフォーマットに対応
DENON LINK 3rd Edition2nd Edition の対応メディア+SACD
DENON LINK 4th Edition3rd Edition の対応メディア+BD2009年8月27日
Denon Link HD4th Edition と同等2012年10月中旬。コネクターがRJ-45からRCAに変更

SACDからBlu-rayへと着実に対応を広げてきたDENON Linkですが、ここで実質的に歴史の幕が下ります。DENONからBDプレイヤーの新モデルが登場しなくなり、規格の更新も止まりました。背景にはHDMIのデファクトスタンダード化があるでしょう。マルチチャンネルのデジタル音声もHDMI1本で完結できる時代になれば、独自規格の出番は自然と失われていきます。なお、DENON Linkに対応した最後のプレイヤーはDBT-3313UD2012年8月22日発表)となっています。


で、結局何をしたのか

DENON Linkの紹介が少々長くなりましたが、本題はシンプルです。

「DENON Linkケーブルを5mに延長しても、正常に接続できるのか?」

これが今回のテーマです。

付属ケーブルや市販品は1.5mが標準的な長さのようです。
そこでふと気になったのが「そもそもRJ-45端子なら、普通のLANケーブルで代用できるのでは?」という点です。DENONの純正DENON Linkケーブルを調べてみると、中身は「CAT.5 Patch cable 4STP 26AWG Stranded」にRJ-45端子を取り付けたものでした。結線が独自仕様でなければ一般的なLANケーブルで代替できるはずです(独自の結線で極性が異なるような設計は、機器破損のリスクがあるためさすがにないでしょう)。

LANケーブルで接続できること自体はすでに別途確認済みです。今回はその前提のうえで、「5mに延長しても動作するか」「音質に変化はあるか」の2点を検証していきます。


準備したケーブル

ラック間の距離を実測した結果、必要なケーブル長は5mと決まりました。今回は現行の最高規格であるCAT8対応ケーブルを選びました。

KB-T8MEFL-05BK(サンワサプライ)
CAT8 メッシュフラット LANケーブル / 40Gbps・2000MHz対応 / RJ-45 / ツメ折れ防止 / 5m / ブラック

ただし、一点だけ妥協があります。純正ケーブルがSTP(シールド付き)であることから、本来はSTPケーブルを使うのが理想的です。しかし今回はコスト面の都合でUTPを選択しました。STP対応の同等品としては KB-T8-05BL(サンワサプライ)(5,200円前後)があります。記事を書きながら「やっぱりSTPも試しておけばよかった……」と後悔しています。

UTPとSTP、CATグレードの違いについて

UTP vs STPの違いはシールドの有無です。STPはケーブル内部に金属シールドが施されており、外部からの電磁ノイズを受けにくい構造です(詳細はサンワサプライの解説ページ参照)。

CATグレードの違いは保証される転送速度の差で、CAT8では40Gbpsが保証されていますがCAT7では同等の保証がありません。今回のDENON Link用途では転送速度よりもノイズ耐性の方が重要ですが、入手しやすさとコストのバランスからCAT8を選択しました。


音質レビュー

初期状態

しばらく使っていなかった機材のため、以前の設定や接続環境が一切不明な状態からのスタートです。手持ちのケーブルの中からそれらしいものを選んで接続しました。

比較ケーブル

試聴ソース

PURE -AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTIC-(SACD)を使用しました。インストゥルメンタル曲とボーカル曲(Suaraさん)が混在しており、音質評価に都合の良い一枚です……手前にあったからというのは内緒です。

最初の結果:予想外の惨敗

聴き始めてすぐ、「おいおい」と思うほど音が違いました。

特にTr.5「永久に」で顕著でした。通常でも低音が「どどどどぉ〜〜」と膨らむ傾向があるトラックですが、5m UTP CAT8ではそれが更に悪化し、ブルブルと不快に響いて聴いていられない状態です。Tr.1に戻っても「これSACD?音の悪いCDじゃないの?」と感じるような出だしで、正直なところ失敗したと感じていました。

🌾 初回再生は機材のウォームアップを兼ねて、別室で無視聴のまま回していました。

2m STPの方はまだマシではあるものの「今まで本当にこの音で聴いていたのか?」と不安になるレベルです。

別の5mケーブルで比較

ちょうどローカルネットワーク用に使っていた5m STP CAT7ケーブル(LD-TWST/BM50相当)があったので試しに繋いでみました。結果は「2mには及ばないが、まだマシ」という印象で、5m UTPが明らかに劣っていることははっきりしました。

「5m STPを新たに購入すべきか……」と考え始めたところで、あることを思い出しました。

ケーブルの向きを確認していなかった

ケーブルには向きがあります。オカルト的に聞こえるかもしれませんが、信号の上流・下流を合わせることが基本で、一般的にはケーブルに印字された文字の流れる方向が正方向とされています。

今回の5m CAT8 UTPはメッシュ加工が施されていて印字が確認できず、向きを気にせず挿していました。試しに逆向きに差し替えてみると……劇的に良くなるわけではありませんが、明らかにマシになりました。評価としては5m STPと同程度まで持ち直した印象です。ただし、2mのケーブルでも気になっていた低音の膨らみは依然として解消されていません。

電源ケーブルが真犯人だった

ここで過去の経験を振り返り、「そういえばなぜこの電源ケーブルが余っていたんだっけ?」と思い出しました。付属の電源ケーブルで低音が膨らむ傾向があった記憶があります。

試しに Oyaide L/i50 OFC に交換してみると……2mでも5mでも、低音の膨らみが落ち着きました。

電源ケーブルが主な原因だったようです。

まとめ

検証項目結果
ケーブル長短い方が有利(5mより2mの方が安定)
UTP vs STP純粋な比較はできていないが、STPの方が有利な可能性あり
ケーブルの向き意外と影響あり(メッシュケーブルは向きの確認が難しいので注意)
電源ケーブル影響が最も大きかった——交換で低音問題が解消

しばらくは今回の構成(5m CAT8 UTP+Oyaide電源ケーブル)で様子を見たいと思います。STP版との比較は、また機会があれば試してみるつもりです。


おわりに

今回はDENON Link 3rd EditionをLANケーブルで代替し、接続距離を5mに延長して動作・音質を検証しました。

改めてDENON Linkの変遷を調べてみると、この規格がすでに実質的な終焉を迎えていることを実感します。今後DENONから新しいプレイヤーが登場するとすれば、接続インターフェースはHDMIになるのが自然な流れでしょう。現在の私の環境はDENON Link 3rd Edition世代と、機器としてはかなり古い部類に入ります。将来的にプレイヤーやアンプを一新するとなれば、接続方式も含めた抜本的な見直しが必要になりそうです。現実的な落とし所はシンプルなRCAステレオ接続に戻ることかもしれません。

CDプレイヤーを持っていないこともあり、優先順位としてはまずSACDプレイヤーの更新が先になりそうです。もちろんアンプも気になってはいるのですが……欲を言えばきりがありません。

それではまた次回。引き続きよろしくお願いします。


参考資料